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「〇〇力が重要!」ってよく目にされていませんか?
今まで、いろんな人が資質や能力を提唱、提言してきましたので、何が重要なのかがわからないですよね。そこで、今まで提唱されてきた資質・能力を一覧で整理してみました。
比較してみると、日本という国がどんな人材を求め、育てようとしているかが見えてきます。

この記事は次のような人におすすめ!
- 社会人基礎力を鍛えたい人
- それ以外の能力も気になる人
1.生きる力(1997年)

生きる力とは、文部科学省が提唱したひとりの人間としての資質や能力を指す力です。国際化や情報化が進み、変化が激しい時代になり、どんなに社会が変わっても必要な能力のことです。
生きる力は3要素で構成され、知・徳・体のバランスのとれた力と定義されています。
- 知:学力基礎を身に付け、変化に対応し、自ら学び考え行動する力を養う能力
- 徳:自律し協調し思いやりと感動を持つ人間性を養う
- 体:たくましく生きるための健康や体力
これらをもとに、学校教育法では、次のように具現化されています。
- 基礎的な知識・技能
- これらを活用して課題を解決するための思考力・判断力・表現力
- 主体的に学習に取り組む態度

学校からもらってくる通知表で見た人もいるでしょうね。
2.キー・コンピテンシー(2002年)

キー・コンピテンシーとは、経済協力開発機構(OECD)が提唱した、能力を活用し、成果につなげる力の中でも鍵となる特性・能力のことです。3つのカテゴリーがあります。
- 社会文化的な道具を活用して、世界に働きかける
- 多様な集団の中で人間関係を形成する
- 自律的に行動する

キー・コンピテンシーの考え方も学校教育で活用されています。
3.人間力(2003年)

人間力とは、内閣府が提唱した社会を構成し、運営するとともに、自立した一人の人間として力強く生きていくための総合的な力のことです。3つの要素をバランスよく高める必要があるとしています。
- 知的能力的要素:基礎学力、専門的な知識・ノウハウ、論理的思考力、創造力など
- 社会・対人関係力的要素:コミュニケーションスキル、リーダーシップ、公共心、規範意識、他社を尊重し切磋琢磨しながらお互いを高めあう力など
- 自己制御的要素:意欲、忍耐力、自分らしい生き方や成功を追求する力など

若者の自立と社会参画が目的でしょうね。
4.社会人基礎力(2006年)

社会人基礎力とは、経済産業省が提唱している仕事をしていく上で重要となる基礎的な能力です。3つの能力「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」、12の能力要素で構成されています。
- 前に踏み出す力(アクション):主体性、働きかけ力、実行力
- 考え抜く力(シンキング):課題発見力、計画力、創造力
- チームで働く力(チームワーク):発進力、傾聴力、柔軟性、状況把握力、規律性、ストレスコントロール力

このブログのメインテーマです。社会人向けですね。
社会人基礎力の詳細はこちら
5.学力の3要素(2007年)

学力の3要素は、学校教育法が改正され「知識・技能」「思考力・判断力・ 表現力等」「主体的に学習に取り組む 態度」が定義されました。この要素をバランスよく育むことが、学校教育に求められるようになりました。
- 基礎的・基本的な知識・技能の習得
- 知識・技能を活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等
- 主体的に学習に取り組む態度

通知表の項目ですね。
6.総合的な学習の時間において育てようとする資質や能力及び態度(2008年)
中央教育審議会の答申で出た内容です。「総合的な学習の時間において育てようとする資質や能力及び態度」は、総合的な学習の時間のねらいを明確化し、身に付けさせたい力や学習活動の示し方について検討する必要があるというものです。
総合的な学習(総合学習)とは、教科学習(国社数理英など)とは別に、問題解決能力などを育む目的で実施されている学習活動です。
ただし、示された視点はあくまでも例であり、3つの視点を参考にしながら各学校で目標を設定する必要があるとしています。
- 学習方法に関すること:情報を収集し分析する力、分かりやすくまとめ表現する力
- 自分自身に関すること:自らの行為について意思決定する力、自らの生活の在り方を考える力
- 他者や社会とのかかわりに関すること:他者と協同して課題を解決する力、課題の解決に向けて社会活動に参加する態度

提唱というよりは、質問されたから方針を答えたという感じですね。総合学習(総合)と特別活動(学活)の違いもよくわからないですね。
7.学士力(2008年)
学士力とは、文部科学省が提唱した、学士課程の修了者が身につけるべき能力のことです。専門知識や技能だけでなく、コミュニケーションスキルや問題解決能力、自己管理能力、チームワークなど4分野13項目があります。
- 知識・理解
- 多文化・異文化に関する知識の理解
- 人類の文化、社会と自然に関する知識の理解
- 汎用的技能
- コミュニケーションスキル
- 数量的スキル
- 情報リテラシー
- 論理的思考力
- 問題解決力
- 態度・志向性
- 自己管理力
- チームワーク、リーダーシップ
- 倫理観
- 市民としての社会的責任
- 生涯学習力
- 総合的な学習経験と創造的思考力
- 獲得した知識などを総合的に活用し、自らが立てた課題を解決する能力

学士力と社会人基礎力は、内容が似ていますね。
8.基礎的・汎用的能力(2011年)
中央教育審議会の答申で出た内容です。「基礎的・汎用的能力」とは、学校でのキャリア教育・職業教育のありかたについて述べたものです。4つの能力に分類され、相互に関連・依存した関係です。
- 人間関係・社会形成能力:他者の個性を理解する力、他者に働きかける力、コミュニケーション・スキル、チームワーク、リーダーシップなど
- 自己理解・自己管理能力:自己の役割の理解、前向きに考える力、自己の動機付け、忍耐力、ストレスマネジメント、主体的行動など
- 課題対応能力:情報の理解・選択・処理等、本質の理解、原因の追究、課題発見、計画立案、実行力、評価・改善など
- キャリアプランニング能力:学ぶこと・働くことの意義や役割の理解、多様性の理解、将来設計、選択、行動・改善など

学生のうちから、キャリアプランニングができるようになるというは、いいですね。
9.成人力(2013年)
成人力とは、課題発見力や課題解決力など、社会で生きていくための総合的な力のことです。OECD(経済協力開発機構)では、これらの知識や技能をどう評価し活用するのかを調査する「国際成人力調査(PIAAC)」を実施しています。
この調査では、3分野が行われ、各国の成人のスキルの状況を把握しています。
- 読解力:文章や図表を理解し、評価し、活用する力
- 数的思考力:数的な情報を活用し、解釈し、伝達する力
- ITを活用した問題解決力:コンピュータやWebなどを活用し情報を収集・評価し、他者とコミュニケーションを図って課題を解決する力

世界24カ国・地域の16~65歳、約15.7万人対象でPIAAC結果は、読解・数的思考は平均1位でした。ただ、ITが10位なのは課題のようです。
10.21世紀型能力(2013年)
21世紀型能力とは、国立教育政策研究所が提案する、21世紀を生き抜く力として、学校教育で育成すべき資質・能力です。
「生きる力」を実践するために、学校教育に落とすかというモデルです。3つの観点で再構成されます。
- 基礎力:言語スキル、数量スキル、情報スキル
- 思考力:問題解決・発見力・創造力、論理的・批判的思考力、メタ認知・適応的学習力
- 実践力:自律的活動力、人間関係形成力、社会参画力、持続可能な未来づくりへの責任

基礎力に情報リテラシー、思考力にメタ認知・適応的学習力、実践力にサスティナブルが入っているのが興味深いですね。
※参照:上記10項目 文部科学省 資質・能力等関係資料(2015)
寺子屋の教育力
最後に、教育の原点にさかのぼってみましょう。時代は江戸時代。寺子屋は、庶民の子どもたちに読み書き、そろばんを教える教育の場でした。今でいう学校のようなものです。さらに、学力だけではんく、しつけも重視し、一人前の大人を育てることを目指したそうです。これが教育の原点です。
学力と道徳
戦国時代も終わり、江戸時代は平和な時代でした。経済が活発化したことで、商家だけでなく農家も、商取引、土地売買など、文書による契約が必要となりました。その結果、読み書き、そろばんが必要なな社会になりました。
また、家を守り、永続させるためには子どもを一人前にし、後継ぎにする必要もありました。そういったことから、庶民の間で寺子屋での教育が盛んになりました。さらに、しつけも重視していました。礼儀作法から来客接遇、礼に始まり礼に終わります。
また、子ども同士に親は入らない、友だちを大事にする、早起きして洗顔、ご先祖さまを拝む、食事には父母に一礼するなど、道徳にまで踏み込んでいました。
江戸時代のキャリアプランは、寺子屋で読み書き、そろばん、道徳を学び、親の家業を継ぐことだったのでしょう。
明治維新
その後、明治時代に入り、明治政府は近代国家を目指し、西洋式の教育制度「学制」を導入したことで、寺子屋は姿を消しました。
1872年から始まった学制は、教育体系を整備しました。全国に小学校が設立され、子供たちはより体系的な教育を受けられるようになりました。
多くの寺子屋はそのまま新しい学校に転換されたり、教師たちが新しい小学校で教えるようになったりしました。その結果、寺子屋で行われていた教育方針は、現代にも受け継がれています。
現代の教育方針を見てみると、社会に適合し、よりよい社会を作るためには、どのような知識やスキルが必要なのかを模索しているように思えます。そこに、道徳的要素が加わることで、「日本人らしさ」が生まれてくるのだと思います。
おもてなし精神
2013年の東京オリンピック招致活動のこと。最終プレゼンで、「おもてなし」という言葉がスピーチされ注目を浴びました。日本のホスピタリティ精神です。
古くから接客などで大切にされてきました。お客様を心からもてなすこと、細部にまで配慮を行き届かせることで、伝統的な価値観のひとつとして大切にされてきました。
2024年、世界の国別の平均IQ(知能指数)ランキングが発表されました。フィンランド企業のWiqtcom Inc.が100ヵ国以上の人々の知能を測定し、国別の平均IQをランキング形式で発表するものです。国別の平均IQの世界1位は日本でした。
また、2022年のPISA(国際学力調査)では、読解力3位、数学的リテラシー5位、科学的リテラシー2位でした。
グローバルな能力・学力テストで世界的に順位が高い日本人。しかし、そこに道徳が入ることで、日本人らしさとなり、社会適合もできるようになるのでしょう。
ただ、大人になると勉強しないと言われることがあります。その理由は、職がなくなる危機感がなかったり、学習したところで年収が上がるわけではないと思い込んできるからかもしれません。
ですが、人生は学校を卒業してからのほうが、はるかに長いわけです。仕事や家庭の負担が増え、学ぶための時間を確保することが難しくなっても自己研鑽ができたらいいですね。
まとめ
これまで近年に提言された資質・能力を一覧で紹介しました。予測不可能な時代(VUCA)と言われ、国がどんな人材を育成しようとしているのかが理解できます。
AIなどテクノロジーの急速な発展やグローバル化、気候変動、感染症など、何が起きるのかが予測しにくい時代です。企業は、今までの価値観やビジネスモデルが通用しにくくなり、時代に変化に適応できる人材を求めています。
どんな知識やスキルを身に付ければいいのか、どんなキャリアプランを持てばいいのか、考えてみるよい機会になればと思います。



