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「ラテラルシンキングって何?」「アイデアが思いつかない…」という方に、できるだけわかりやすく、説明します。
ラテラルシンキング(水平思考)は、創造的で自由な発想をしてアイデアをひらめきますが、直感だけに頼るわけでも、無計画に行動するわけでもありません。
そこで、今回は、リカレント教育(学び直し)で、苦手克服できるようにやさしく説明します。

この記事は次のような人におすすめ!
- ラテラルシンキングを鍛えたい人
- 革新的な問題解決のアイデアを出したい人
ラテラルシンキングは社会人基礎力のひとつ
ラテラルシンキングは社会人基礎力のひとつです。社会人基礎力とは、経済産業省が提唱する「基礎学力」「専門知識」を生かす能力のことです。

社会人基礎力は、「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」の3つの能力から構成されています。ラテラルシンキングは、考え抜く力に含まれます。

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タクシー業界のクイズ

タクシー業界には「流し」と呼ばれる営業方法があります。流し営業とは、タクシーを走らせながら、お客さんを探す方法です。
タクシー運転手の報酬は、売上による歩合制(実績に応じた給与形態)が多く、稼げる人と稼げない人がいます。では、どのような流し営業をすれば稼げるのでしょうか?
稼ぐタクシー運転手は、いつ、どこに行けば、お客さんを見つけられるのかを考えています。やみくもに流し営業をするのか、それとも仮説を立てて流し営業をするのかで、成果が変わるからです。
例えば、人の多い場所は、お客さんがいる可能性も高いでしょう。お金持ちの多い場所や会社が多い場所、坂道が多い場所、飲み屋が多い場所などです。季節や時間帯を考ると、さらに最適なタイミングと場所が見つけられます。
また、天気予報を確認し、急に雨が降ったタイミングで、駅やモールなどでお客さんを見つけるとか、交通情報を確認し、電車が止まったときに、移動手段を失ったお客さんを見つけるのも仮説のひとつです。
さらに、イベント情報を確認して、ライブやスポーツ観戦などのイベント前後の時間帯で、会場周辺で見つかるかもしれません。残業で疲れた、飲み過ぎて歩くのが嫌、終電がなくなったなど、人にはタクシーを利用したくなるタイミングがあります。
つまり、お客さんのニーズが、どのタイミングでどの場所で生まれるのかを仮説を立てるのがポイントとなります。
ラテラルシンキングとは?

ラテラルシンキング(水平思考)とは、ある問題を解決するために、今まで行ってきたことにとらわれずに、まったく違った視点から新しいアイデアを出そうとする考え方です。
ラテラルは水平という意味があり、さまざまな視点で物事をとらえ、考えを広げる考え方です。
例えば、問題を解決するためにまったく違った分野の知識や技術を取り入れることがあります。これにより、従来のアプローチでは見つからなかった新しい解決策が生まれることがあります。
また、他業種の成功事例を自分の業種に応用することもあります。さらに、問題を解決するために既存の方法をすべて否定して、ゼロから考え直すこともあります。
ちなみに、問題解決を行う際には、ラテラルシンキング(水平思考)だけを使うのではなく、ロジカルシンキング(垂直思考)やクリティカルシンキング(批判的思考)も使います。
3つの思考法の違いについては、関連記事をご覧ください。
仮説を立てる

仮説とは予想を立てることです。まだ確認はできていないけど、最も答えに近いと思われるものです。先ほどのタクシーの例では、お客さんがいそうなところを予想していました。
人は情報が多いほど、正しい意思決定ができると思っています。失敗したくないので、すべての選択肢を知りたいのです。
だから、問題を解決するときに、多くの情報を集めてから答えを出そうとします。しかし、すべての情報を集めるのには時間がかかります。
そもそも、すべての情報を調べて答えを出すのは不可能に近いでしょう。タクシーを例にすると、すべての通りを流し営業で走るのは不可能に近いです。
そこで、必要となるのは、今ある選択肢をどうやって絞り込むのかという点で情報を集めます。タクシーの例なら、いつ、どこに行けばいいかということです。
- 天候情報を見て、駅やモールに行くかどうか
- 運行情報を得て、駅に行くかどうか
- イベント情報を見て、会場近くに行くかどうか
- 残業や飲み会などで終電をなくした人を見つけに駅に行くかどうか
- 地域特性を見て、お金持ちの多い場所、会社が多い場所、坂道が多い場所、飲み屋が多い場所へ行くかどうか
問題解決をするためには、少ない材料でも仮説を立てて、意思決定をします。
ラテラルシンキングと仮説

問題解決をする際に必要なものは仮説です。あるべき姿と現状にギャップがある場合、これを問題とします。問題には原因がいくつかあります。下記の図は、ブログのアクセスが少ないという問題に対して、原因を洗い出して探るための原因追求ツリーです。

原因の中から最も解決すると効果的だと思うものを仮説で選びます。そして、選んだものを論点(解決すると最も効果的だと思われる原因)とします。
次に、論点を解決できそうな解決策を考えます。解決策はいくつかのアイデアを出し、その中でも最も効果的だと思うものを仮説として選びます。
このように、論点や解決策を決める場合に仮説を立てます。仮説を立てるときは、既存知識や固定観念に縛られないアイデアを出すときに、ラテラルシンキングを使います。
問題は今までの知識や技術、経験だけでは解決できないこともあり、革新的なアイデアが求められることもあります。
例えば、音楽業界では、レコードの登場で音楽を記録し、いつでも聞けるようになりました。しかし、持ち運びが不便、裏面に返す手間がありました。
そこに、CDが登場し、小型で軽量で劣化しにくくなりました。その後、物理的なメディアを持ち運ぶことなく、数百曲、数千曲のデータを持ち歩けるようになり、CDを買わなくても音楽データが配信されるようになりました。
革新的なアイデアや技術により、進化をした事例のひとつです。
網羅しない・先に分析しない

もし、問題解決に仮説を立てないとしたらどうなるでしょうか。網羅的に考えることになるかもしれません。しかし、このやり方は時間がかかります。情報を集めているうちに状況は変わり、チャンスを失うかもしれません。
例えば、池で魚を釣るとします。魚を釣るために、すべてのポイントに針を落とすことはしないはずです。仮説を立てて、魚が釣れそうな場所を決めるはずです。
次に、仮説を立てるとそれが正しいかどうかの証拠がありません。そこで、仮説を検証するために必要な情報だけを集めて分析します。仮説が先で分析は後です。これにより、効率的に意思決定ができます。
ラテラルシンキングの鍛え方

ラテラルシンキングを鍛えるためには、アイデアの出し方を学びます。
アイデアは、問題を解決するための仮説を立てるために使います。アイデアの出し方は、大きく分けて3パターンあります。
- ひらめく
- ひねり出す
- マネる
ブレインストーミング
アイデアをひらめく方法のひとつに、ブレインストーミングがあります。ブレインストーミングとは、何人かで自由にアイデアを出し合う方法です。
テーマを決めて、何人かのメンバーが自由にアイデアを出します。そのとき、アイデアに批判や評価はしません。どんなアイデアも歓迎します。
また、アイデアを組み合わせたり、改良することもOKです。数を多く出していきます。これにより、新しい発見や創造的なアイデアを生み出します。
ただし、ブレインストーミングにはデメリットもあります。集まったメンバーの知識やスキル、経験に依存するということです。アイデアが偏るので、仮説が必ずしも正しいとは限りません。
SCAMPER法
アイデアをひねり出す方法のひとつに、SCAMPER法があります。SCAMPER法とは、既存のものに対して異なる視点からアプローチすることで、新しいアイデアや改善策を見つけ出すための方法です。
7つのアプローチで異なる視点を提供します。
- S:ある要素を他のもので置き換えることを考える方法
- コップの素材をプラスチックからバイオマスプラスチックに置き換える
- C:複数の要素を組み合わせて新しいものを生み出すアプローチ
- スマートフォンとカメラを組み合わせる
- A:他の分野や状況からアイデアを取り入れて適応させる
- 自動車産業の省エネ技術を電化製品に適用する
- M:ある要素を変更したり拡大したりする
- ペットボトルの形を変えたり、容量を大きくする
- P:既存のものを異なる用途に転用する
- 古い服をぞうきんに転用する
- E:不必要な要素を削除する
- 食品プラスチックトレイをなくして簡易包装にする
- R:順序や視点を逆にする
- レストランで顧客が自分で調理する方式にする
欠点列挙法と希望点列挙法
欠点列挙法とは、商品やサービスなどの欠点や問題点を列挙し、改善するための新しいアイデアを見つけ出す方法です。
例えば、使いにくさや価格が高いなど、具体的な問題点をできるだけ多く挙げます。次に、それぞれの欠点に対して、どのように改善できるかを考えます。すべてのアイデアが有効であるかを問わず、自由にアイデアを出します。
希望点列挙法とは、商品やサービスに対して、消費者が望む機能や特徴を列挙し、希望を実現することで新しいアイデアや改善策を見つけ出すための手法です。
例えば、消費者がどのような希望を持っているのかを洗い出します。次に、それぞれの希望点に対してどのように実現できるかを考えます。すべてのアイデアが有効であるかを問わず、自由にアイデアをだします。
ひねり出す方法にもデメリットがあります。それぞれのフレームワークによって偏りがでます。
マネる
マネる場合は、国内・国外、同業種・他業種のパターンがあります。解決方法のアイデアをひらめきや、ひねり出す場合は、成果が出せるとは限りません。
そこで、他の成功事例を展開または転用することで、迅速に成果を出そうというものです。経営セミナーなどに行く理由のひとつは、こういった成功事例を得るためでもあります。
| 国内 | 海外 | |
| 同業種 | 競合事例の展開 | 海外事例の展開 |
| 他業種 | 他業種からの転用 | 他業種からの転用 |
海外で発展されたビジネスモデルが形を変えて、日本で展開されることはよくあります。また、他業種からの転用は、業種が違ったとしても、顧客ニーズの本質は変わらないことがあります。そこで、自分が展開している業種へ転用することで新しい価値が生まれます。
まとめ
ラテラルシンキング(水平思考)は、既存の方法や考え方にとらわれず、新しい視点から問題解決をする思考法です。異なる分野の知識や技術を取り入れ、革新的な解決策を見出すアプローチです。
原因や解決策は仮説を立てます。仮説を立てる際にラテラルシンキングは、重要な役割を果たします。
ラテラルシンキングを鍛える方法は、いくつかあります。ブレインストーミングやSCAMPER法は代表的な手法です。ブレインストーミングは、自由な発想でアイデアを出し合い、量を重視する方法です。一方、SCAMPER法は、既存のものを変える視点を持つことで新しいアイデアを創出する方法です。
また、他の成功事例を参考にすることも有効です。例えば、海外のビジネスモデルを国内に展開したり、他業種の成功事例を自分の業種に転用することもあります。これにより、迅速に効果的な解決策を見出すことが可能です。
予測不可能な社会と言われ、従来の解決法では解決できないこともあります。そんなときに、革新的なアイデアで解決を求められることもあります。
ラテラルシンキングは、新しい視点から問題を捉え、効果的な解決策を見つけるための重要な思考法です。ぜひ、ロジカルシンキング・クリティカルシンキングと合わせて、鍛えてみてはいかがでしょうか。





