「問題解決とか考えるのが苦手…」とお悩みではありませんか?
仕事だけではなく、日常生活をしていたら多かれ少なかれ誰でも問題を抱えています。そして、解決が必要なものもあるでしょう。
もし、問題解決が苦手だとしたら、それは思考法の偏りにあるかもしれません。例えば、人の思考にはクセがあり、いつも前向き(ポジティブ)に考える人や後ろ向き(ネガティブ)に考える人がいるのもその人の思考のクセです。
そこで、今回は、トリプルシンキングについてご説明します。
その前に社会人基礎力のおさらいを少しだけします。社会人基礎力とは、経済産業省が提唱している基礎学力・専門知識を生かす能力のことです。

社会人基礎力は、前に踏み出す力(アクション)、考え抜く力(シンキング)、チームで働く力(チームワーク)の3つの能力から構成されています。

トリプルシンキングは思考法ですから、考え抜く力(シンキング)に含まれています。
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【クイズ】チョコレートを分けよう!

ここでクイズを出してみましょう。あなたは友人の家に遊びに行きました。帰るときに「子供たちにあげてね」と旅行のお土産をチョコレート3つもらいました。
あなたには2人の子供がいます。チョコレートを3つ持って帰ると、1つあまり取り合いのケンカが始まりそうです。ケンカせずに、均等に同じ量のチョコを分け与えるためには、どうすればいいでしょうか?
答えはいくつかあります。
- 余った1つのチョコを半分に分ける(式:3個÷2人=1個と1/2個ずつ)
- チョコを溶かしてホットチョコ2杯にする
- 1個は自分で食べてチョコが2個しかなかったことにして1個ずつ分ける
いかがでしたでしょうか? 思いついた答えはあったでしょうか。実は、どの答えも正解で目的を果たしています。違うのは思考の仕方です。
トリプルシンキングとは?
トリプルシンキングとは、ロジカルシンキング、ラテラルシンキング、クリティカルシンキングの3つの思考法を使って問題解決を行う方法です。
- ロジカルシンキング(垂直思考・論理的思考)
- ラテラルシンキング(水平思考)
- クリティカルシンキング(批判的思考)
それぞれの思考法は違った視点で考えますので、バランスよく使うことで、より深い洞察や違った解決策を見つけることができます。
それでは、さっきのチョコのクイズの解説をしてみましょう。
まず、ロジカルシンキングで考えてみます。これは論理的に物事の要素を分ける考え方です。論理的とは、きちんと道筋を立てて考えることです。「チョコを切り分けるには、どうしたらよいだろう」と考えた結果、余ったチョコを半分に分けるという解決策になりました。
次に、ラテラルシンキングで考えてみましょう。これは結果までの過程を見て、最も効率的な解決方法を見つける考え方です。 「簡単にできる方法はないか、似たような例ではどうしているのか」と考えた結果、チョコを溶かしてホットチョコ2杯にするという解決策になりました。
最後に、クリティカルシンキングで考えてみましょう。これは状況を疑って、本来の目的に対する解決方法を探す考え方です。 「目的は何か、問題の本質は何か」と考えていくと、1個は自分で食べてチョコが2個しかなかったことにして、1個ずつ分けるという解決策にたどり着けました。ちょっとズルいですか?
この3つの思考法を使うことで、まったく違った解決策が3つも出てきますので、ぜひ、活用してみてください。
ロジカルシンキングが苦手な人
トリプルシンキングの話になると、「ロジカルシンキングは苦手だ…」という人にたまにいます。その要因について考えてみましょう。
- 数学や化学が苦手だ
- クリエイティブな思考や直感的な思考が得意
- 論理的思考は苦手だと思い込んでいる
いくつか要因はあると思いますが、ロジカルシンキングの基礎は数学や科学です。学生時代に、これらの科目が苦手な場合は、論理的思考が鍛えられていない可能性があります。そんな方は、リカレント教育(学び直し)で、苦手克服するのもよいでしょう。
人には思考のクセやスタイルがあります。クリエイティブな思考(自由な発想)や直感的な思考が得意な人は、論理的な思考が不得意な場合があります。
「自分は論理的思考が苦手だ…」と思い込んでいる人もいると思われます。思い込みはスキルの向上を妨げることがあります。「やってみたら以外にできた」なんてことはよくあることです。
ラテラルシンキングが苦手な人
「ラテラルシンキングは苦手だ…」という人もいますので、その要因についても考えてみましょう。
- 学校教育で明確な答えを求める論理的思考ばかり使っていた
- リスクを避けたい安全志向
- 慣れた思考法の固定化
学校教育では、解ける問題が出されて、明確な答えを出す練習をします。これにより、ロジカルシンキングは鍛えられますが、ラテラルシンキングが身に付いていないのかもしれません。
また、ラテラルシンキングは、既存の枠組みを超えた新しい視点やアイデアを求めるため、リスクを伴うこともあります。リスクを避けたい安全志向の人は、苦手意識を持つかもしれません。
日常的にロジカルシンキングやクリティカルシンキングに慣れている人は、思考が固定化され、柔軟な発想や創造的なアイデアを出すラテラルシンキングが苦手になっただけかもしれません。
クリティカルシンキングが苦手な人
「クリティカルシンキングは苦手だ…」という人も、その要因を考えてみましょう。
- 学校教育が暗記ばかりだったから
- 安全志向、従順な性格だから
- 自分の意見や判断に自信がないから
学校教育の中心は、暗記が多く、クリティカルシンキングを養う機会が少なかったからかもしれません。最近は、教育現場でも見直され、アクティブラーニングでディベートやディスカッション、問題解決型の学習が少し行われるようになりました。とても効果的な方法ですが、時間がかかるため、知識詰めこみ教育が中心となってしまいます。
クリティカルシンキングは、既存の知識や意見に対して疑問を持ち、批判的に思考します。安全志向が強く、従順な性格の人は、疑問を持つことを避ける可能性があります。
クリティカルシンキングは、自分の意見や判断に自信が必要です。自分の意見を伝えることで、不安を感じる人や自己評価が低い人は、批判的に考えることが難しくなります。
このように、生活環境や教育、性格などから思考スタイルが影響を受けます。しかし、思考はクセですから、矯正することも苦手克服もできます。
トリプルシンキングを使った問題解決ステップ
ここでは、トリプルシンキングで問題解決をするためのステップを説明しましょう。問題解決のフレームワークは、もう少しステップが複雑なのですが、ここではできるだけシンプルに3ステップにしたものを説明します。
1.クリティカルシンキングで現状を疑う
仕事をしていたら問題が発生し、問題解決が必要になったとします。まずは、手に入れた情報を鵜呑みにせず、事実か推測かを見極めてみましょう。事実はどこから出てきた情報なのか、推測は、なぜ出てきた想像・予想なのかを納得できるまで確かめましょう。
例えば、部下から売上報告があったとします。「商品Aの売上が低迷していることがわかりました。店の売上を底上げするためにはどうすればいいか?」と相談されたとします。
まず、事実か推測かを見極めてみると、商品Aの売上が低迷しているのは、集計された売上データからの分析結果からだということで事実だとわかりました。
クリティカルシンキングは、本来の目的に対する解決方法を探す考え方です。本来の目的を確かめて、思い込みがないことを確認します。
相談内容は店の売上を底上げすることです。商品Aの売上が低迷していることから、商品Aの売上を上げなければと思い込むのは危険です。
本来の目的を考えて、商品Aの売上を無理に上げなくても、他の商品で店の売上を底上げすれば目的は達成できるかもしれないと考えます。
店の売上を底上げしなければならないのは問題です。この問題には原因があり、原因のひとつが商品Aの売上低迷かもしれませんが、それ以外にも原因があるかもしれません。
2.ロジカルシンキングで問題を分類し、論点を見つける
クリティカルシンキングで本来の目的を確認して、問題を捉えました。次に、ロジカルシンキングで、問題を引き起こした原因を要素分解していきます。要素を分けるためには、対象がどんな範囲があり、どんな細かい内容かを知る必要があります。そして、分解された要素はお互いの関係性を持っています。その中から、論点(解くべき問題)を見つけます。
店の売上を底上げするために、原因を要素分解してみました。売上=客数×客単価×購入頻度という要素分解ができました。
そうすると、実は客数が減っていることが主な原因だということがわかり、論点は「減った客数を増やすためにはどうすべきか?」にしました。
3.ラテラルシンキングで似た事例を探し、解決策にする
ロジカルシンキングで論点を見つけました。最後に、ラテラルシンキングで解決策を探します。ラテラルシンキングは、最も効率的な解決方法を見つける考え方です。解決策を自分で考えた場合、経験がベースになるので発想に偏りがでます。そこで、他の成功事例を参考にする方法を採用することも有効です。
減った集客を増やすために集客をすることにしました。集客方法は、近隣の他店が既存のお客様にハガキを送って、集客がうまくいっていることを知りました。
そこで、自分の店でも既存のお客様にハガキを出すことにしました。
自分でひらめいた解決策は最善策だという保証はありません。むしろ、失敗の可能性が高いかもしれません。そこで、他の成功事例を知ることで、効率的によい解決策を見つけることも有効です。
トリプルシンキングを使い分ける理由
トリプルシンキングで、3つの思考法を使い分け方を説明しました。特定の思考法が苦手な人にとっては、「1つの方法で考えればいいじゃないか」と思う人もいると思います。
しかし、特定の思考法だけでは、問題解決ができないことがよくあるので、やはり、3思考は使い分けることが重要となります。
たとえば、学校の問題は、解けることが前提となっていて、答えもひとつのものが多いのが特徴です。ですから、問題を疑うことなく解くわけです。
社会には解いてはいけない問題がある
社会に出ると、解いてはいけない問題があります。先ほどの売上低迷の問題に対して、原因は少子化だからと言われたとします。そのままロジカルシンキングで解こうとしても、少子化という現象は一人の人間で解決するには大きすぎるテーマです。また、少子化が解決したからといって、店の売上が上がるとは限りません。つまり、解いてはいけない問題ということになります。
店の売上アップで解いてはいけない問題例
- 政治的要因(ビジネスを規制する法律や政治動向など)
- 経済的要因(経済水準・所得変化・為替変動・金利など)
- 社会的要因(人口動態の変化・価値観・倫理観・流行の変化)
- 技術的要因(ビジネスに影響を与える技術動向)
ここで、必要なのは、「本来の目的は何か?」というクリティカルシンキングです。
部下から問題があると相談されたときに、問題と原因がセットで言われることはありませんか?
例えば、「店の売上が下がっています。原因はお客さんが減ったからだと思います」。本当でしょうか? 確かに店の売上が下がった原因のひとつは、お客さんが減ったからでしょう。しかし、さらに調べてみると、店の接客態度が悪く客離れが原因だったとします。
すると、いくら広告費をかけてチラシを出しても、接客態度が悪いわけですから、リピートは期待できず、新規客に頼ることになってしまいます。これでは効率が悪いですよね。
思いついた解決策が最善だと思い込む
クリティカルシンキングも使わない人がいますが、これも効率が悪くなります。
例えば、部下から相談されたときに問題と解決策がセットで言われることがあります。
「店の売上が下がっています。チラシを出せばお客さんが増えると思います」。確かに、チラシを出せば集客できる可能性があるため、売上は回復するかもしれません。しかし、調べてみたら、近隣でディスカウント店がオープンしていて、「開店キャンペーンの開催」で行列ができていたとします。
こんな状態では、チラシを出したとしても効果が薄いかもしれません。そこで、クリティカルシンキングを使って、本来の目的を考えてみると、「地域に根差した末永く愛される店で、どんな競合他店ができても選ばれる店」だと思いだしたとします。
すると、競合他店との差別化に力を入れたほうがよいと考え、まずは、他店に実際に足を運んでみることが重要だという結論になるかもしれません。
まとめ
トリプルシンキングは、ロジカルシンキング、ラテラルシンキング、クリティカルシンキングの3つの思考法を組み合わせた総合的な思考アプローチです。
これを活用することで、問題解決で効果的なアプローチができるようになります。それぞれの思考法の枠組みを知り、現場で使っていくことで思考力は鍛えられ、問題解決能力は上がっていきます。
ぜひ、さまざまな思考法を手に入れて使ってみましょう。





