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「人生100年時代の社会人基礎力って何?」という方に、できるだけわかりやすく説明します。

この記事は次のような人におすすめ!
- 人生レベルでの社会人基礎力について知りたい人
人生100年時代
人生100年時代。平均寿命は延び、100歳まで生きるのが当たり前になる時代が来ると言われています。また、単純に寿命が延びるだけではなく、人生設計(ライフプラン)が変わるとも言われています。
今までの人生設計は、「学ぶ」「働く」「引退する」の3ステージが基本の形でした。しかし、寿命が100年に延びた場合は、3ステージを少しずつ延ばすという簡単な変化では対応ができないと言われています。

「学ぶ」ステージでは、画一的な学校教育、「仕事」ステージでは、長期雇用、「引退」ステージでは、年金受給で余生を楽しむというものです。
「ライフシフト」の著者、リンダ・グラットン氏によると、ステージを組み替えながら柔軟な生き方を模索する「マルチステージ」の時代が来ると言っています。
マルチステージとは、多様な働き方や生き方を複数選んでいく人生です。働くことと学ぶことを両立させたり、引退しても貢献しながら学び続けたりする生き方が、長い人生の充実につながるという考え方です。

グラットン氏は、人生100年時代に見直す資産は2つあると言います。1つは老後資産、もう1つは生き抜くためのスキル・人間関係・健康などの無形資産です。
- 老後資産
- 無形資産(生き抜くためのスキル・人間関係・健康など)
無形資産を見直す上で、重要なのが教育です。今までは学校を卒業し、就職すると仕事に直結した専門知識以外は、新たな知識やスキルを学び直す機会は減りました。
そのため、20代までに学んだ知識・スキルで、残り80年間の生き方を考えなければならず、選択肢が狭まる原因でした。
そこで、マルチステージでは、一人ひとりのライフステージに合わせて、新たな知識・スキルを学び直すための「リカレント教育(学び直し)」が必要だと言われています(※日本政府による人生100年時代構想会議にて)。
3つの無形資産

人生100年時代に必要とされる無形資産は、生産性資産、活力資産、変身資産の3つに分類されます。
生産性資産
生産性資産とは、稼ぐための資産です。例えば、長年かけて得た知識やスキルです。ただし、若いころに身に付けた専門能力だけで一生を生き抜くことは難しいでしょう。
そのため、人生の中で、新しいスキルを得続けることが大切です。また、専門スキルを活かす社会人基礎力を鍛えることも効果的です。
活力資産
活力資産とは、やる気を出すための資産です。具体的には、心身の健康や友人や家族との良好な関係などです。
平均寿命は延びていますが、健康寿命も大切です。健康寿命とは、健康上の問題がなく、日常生活を送れる期間のことです。平均寿命との差は、男性で8.7年、女性で12.1と言われています(平均寿命は、男性が81.1歳、女性が87.1歳※厚生労働省2022年)。
また、友人や家族と良好な関係を築けている人は、高齢になっても前向きで活力的な傾向が見られるそうです。
変身資産
変身資産とは、人生の途中で変化と新しいステージへの移行をする意思と能力のことです。これには、3つの要素が必要です。
1.自分をよく知っていること
自分のことをよく知ることで、変化を経験しながらも自分らしさを保てます。
2.多様性のある人脈を持っている
新しいステージへ移行するためには、別の視点を持った多様性のある人脈が役に立ちます。
3.新しい経験に心を開くこと
新しいやり方を受け入れると、適応することができます。
無形資産に投資を続け、学び続けることが、充実した人生を送るためのポイントでしょう。
新しいステージ

マルチステージで出てくる新しいステージは次のようなものです。
1.日常生活から離れて旅をしたり、新しい人と出会ったりします。今までの価値観から抜け出し、自分への理解を深めていきます。
2.組織に雇われずに自分で仕事を生み出します。やりがいや人とのつながりを重視しながら、試行錯誤をスピーディに繰り返して学びを深めていきます。
3.異なる種類の活動を同時に行います。経験や知識を活かしていろんな自分を楽しむことで、多様な活動が自分らしさに繋がっていきます。
寿命と定年制
人生100年時代の社会人基礎力とは、これまで以上に長くなる個人の企業・社会との関わりの中で、ライフステージの各段階で活躍し続けるために求められる力のことです。
平均寿命は、明治・大正時代で43歳、1947年で50歳、1951年で60歳、1971年で70歳、2013年で80歳となりました(男性平均)。

定年制度は、明治時代に55歳(終身雇用)でした。その後、高年齢者雇用安定法は、1998年に60歳定年、2013年に65歳定年となりました。また、70歳までの就業機会の確保が努力義務となりました。
平均寿命は、戦後の50才から80才まで30年も伸びています。しかし、定年年齢は、55才から65才と10才しか伸びていません。今後は、生涯現役という働き方も増えることが予想されます。
キャリアオーナーシップ
高齢化社会になり、働き方は多様化され、定年後も働き続ける人が増えると予想されます。働き方と生き抜く力が求められる時代です。そこで、出てきたのがキャリアオーナーシップという考え方です。
キャリアオーナーシップは、自分の経歴に対して主体的に取り組むことを言います。社会に価値を提供し続けるためには、社会人基礎力は必要な土台とされています。
また、絶えず学び直しでアップデートし、新たなスキルの獲得が必要とされています。
人生100年時代の社会人基礎力
社会人基礎力とは、職場や社会で仕事をするときに重要な基礎能力のことです。
経済産業省が読み書きなどの基礎学力と、職業知識や資格などの専門知識を生かすために、仕事に必要な能力として社会人基礎力を2006年に提唱しています。

社会人基礎力は、「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」の3つの能力、12の要素から構成されています。

- 主体性…物事に進んで取り組む力
- 働きかけ力…他人に働きかけて巻き込む力
- 実行力…目的を設定して確実に行動する力
- 課題発見力…現状を分析して目的や課題を明らかにする力
- 計画力…課題の解決に向けたプロセスを明らかにして準備する力
- 創造力…新しい価値を生み出す力
- 発信力…自分の意見をわかりやすく伝える力
- 傾聴力…相手の意見を丁寧に聴く力
- 柔軟性…意見の違いや立場の違いを理解する力
- 情況把握力…自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力
- 規律性…社会のルールや人との約束を守る力
- ストレスコントロール力…ストレスの発生源に対応する力です。
人生100年時代に合わせて、社会人基礎力は、平成29年度に開催した「我が国産業における人材力強化に向けた研究会」において「人生100年時代の社会人基礎力」と新たに定義されました。
マルチステージの各段階で活躍し続けられるために、自己を認識して、振り返りながら、自らキャリアを切りひらいていく上で必要とされています。
社会人基礎力の詳細はこちら
社会人基礎力で追加された3つの視点
働く期間は長くなりますが、スキルの賞味期限は短期化されていっています。ひとつのスキル・経験だけで、一生涯活躍することは難しい時代です。
個人が活躍し続けるためには、働くことと学ぶことの両立が重要とされています。
そのために、3の視点が追加で提唱されました。
- 何を学ぶか
- どのように学ぶか
- 学んだ後に、どのように活躍するか
何を学ぶかを考えることが最初の学びです。土台となる社会人基礎力、EQ(心の知能指数)、マインドセットなどを常に更新し、ニーズの高いIT、産業分野別のスキルなどを明らかにします。
どのように学ぶかは、タフアサインメント(難しい課題を与えて急成長を促す)や兼業・副業(複業)で体験裁量を上げます。企業と個人の対話を充実させ、学ぶ環境を整えます。企業の役割は、雇い続けるから活躍し続けるための支援(キャリア開発支援)に変わります。
学んだ後に、どのように活躍するかは、多様なポジションの獲得、創出、新陳代謝の促進により、自由なキャリアの実現。スキルや成果に基づく処遇の実現。チャレンジする仕組み作り、企業での再活躍の促進。転職、再就職の円滑化など。
個人、企業、社会がそれぞれの立場から、好循環を作り出すために取り組むことが重要です。
ワークアズライフ(Work As Life)

ワークアズライフという考え方があります。ワークアズライフとは、仕事とプライベートを分けない働き方のことです。仕事とプライベートがハッキリしないというのは、フリーランスのような働き方に近いでしょう。
今までは、仕事とプライベートをしっかりと分けるべきだ(ワークライフバランス)とされていました。しかし、ワークアズライフは逆の考え方です。
ワークライフバランスとは、仕事だけでなくプライベートも充実させ、ライフステージごとに多様な生き方を選択・実現するという考え方です。
ワークアズライフは、仕事とプライベートを分けずに、仕事を趣味のひとつにする方法なので、労働に時間を費やしているという意識が薄くなるのが特徴です。
仕事を趣味のように位置付けることで、好きでやっているので、モチベーションが保ちやすく、仕事の効率を上がります。
一般的には、長期休暇が終わると、離職率が上がると言われています。長期休暇でリフレッシュしたはずなのに、出勤日が近づくとネガティブな感情になるからです。
仕事とプライベートの線引きが明確過ぎると、プライベートを満喫すればするほど、労働から逃げ出したくなる現象です。
しかし、ワークアズライフのように仕事を趣味にできるような仕事が見つからないという人もいるでしょう。また、長時間労働になるだけでは…と思う人もいるでしょう。
今や、働き方や価値観はひとつではありません。多様化の時代がきていますので、こういった考え方もあります。
例えば、複業という言葉があります。複業(パラレルキャリア)とは、 複数の仕事を並行して取り組む働き方です。 を意味します。働き方改革が浸透し始めた2018年以降に、注目を浴びるようになりました。
複業は複数行っている仕事のうちのどれかを指しているわけではありません。ちなみに、副業は、本業があることを前提に別の仕事をすることです。
まとめ
人生100年時代を迎え、平均寿命が100歳に近づく中、人生設計が大きく変わると予測されています。従来の「学ぶ」「働く」「引退する」の3ステージから、柔軟な生き方を模索する「マルチステージ」への移行すると「ライフシフト」の著者、リンダ・グラットン氏は提唱しています。
重要な資産は、老後資産と無形資産(スキル、人間関係、健康など)です。無形資産の見直しには、リカレント教育(学び直し)が必要であり、特に「生産性資産」「活力資産」「変身資産」の3つが重視されます。
さらに、キャリアオーナーシップの考え方が重要となり、自分の経歴に対して主体的に取り組むことが求められます。社会人基礎力はキャリア形成の土台として重要な役割があります。
新しい働き方として、仕事とプライベートを分けない「ワークアズライフ」や複業(パラレルキャリア)も注目されています。これにより、仕事を趣味の一環として楽しむことが可能となり、モチベーションを保ちながら効率的に働くことができます。
今回は、社会人基礎力が人生100年時代に向けて、アップデートされ「何を学ぶか」「どのように学ぶか」「学んだ後に、どのように活躍するか」という視点が追加されました。
学び続けることで豊かな人生を送りたいですね。



